
発熱時に用いられることが多い、「冷却シート」。
どこに貼ると効果的なのか、保護者の方から聞かれることが時々あります。そこで、今回は小児科医の冷却シートに対する考えについてご紹介いたします。
結論:冷却シートは使用しない方が良い。
いきなりですが、冷却シートは使用しない方が良いです。なぜかというと、冷却シートによる死亡事故が発生しているからです。
北海道で4月下旬、生後4カ月だった男児の額に張った熱冷まし用のジェル状冷却シートがずれて鼻や口をふさぎ、男児が窒息状態となって脳に重い障害が残る事故があったことが29日、国民生活センターの調査で分かった。
引用元:https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20040729000153
国民生活センターでは同様の事故が起こる可能性があるとして、「自力でシートをはがせない赤ちゃんに使う場合、大人が目を離す時は一度はがすなど注意して」と呼び掛けています。
そもそも冷却シートでは解熱しない
冷却シートに解熱作用はありません。
辛い発熱を抑えたい場合は解熱剤を使用しましょう。
まとめ
冷却シートは「ひんやり感」で一時的に気持ちを楽にしてくれるかもしれませんが、実際には体温を下げる効果はなく、むしろ誤用による重大な事故のリスクがあります。国民生活センターからも注意喚起が出されているように、特に赤ちゃんや小さなお子さんに使用するのは危険です。
発熱時には、冷却シートに頼るのではなく、解熱剤の適切な使用や、必要に応じた医療機関の受診が重要です。
👉 「冷却シートは使わない方がいい」――これが小児科医としての結論です。
お子さんの安全を守るために、正しい知識をもって対応しましょう。

