予防接種をした日は入浴しても大丈夫?昔と今で変わった考え方

予防接種を受けた日の夜、

お風呂に入っていいのかな?

と迷ったことはありませんか?

昔は「接種当日は入浴を控えるように」と言われることが多く、心配になってしまう保護者の方も少なくありません。
しかし、現在の医学的な考え方では「基本的に入浴は問題ない」とされています。なぜ考え方が変わったのか、そして実際に注意すべきポイントはどこにあるのかを、小児科医の視点からわかりやすく解説します。

結論:予防接種をした日でも入浴は基本的に問題ない

「予防接種をした日はお風呂に入ってはいけない」と昔は言われてきましたが、現在ではその考え方は変わっています。医学的には、予防接種をした当日でも入浴は基本的に問題ないとされており、厚生労働省や小児科学会のガイドラインでも「制限は不要」と明記されています。
むしろ、汗や汚れを洗い流して清潔に保つことは、体調管理や感染予防の観点からも望ましいといえるでしょう。

昔は入浴を避けるように指導されていた

でも、昔は入浴を控えるように言われていたような気がする・・・

と思う方もいるかもしれません。実はその通りで、かつては接種当日は入浴を避けるよう指導されていました。その背景には法律の規定があります。

1994年(平成6年)の予防接種法改正前、予防接種実施要領には「接種当日および翌日は安静にすること」と明記されていました。さらに種痘については「接種当日、できれば翌日も入浴を避けること」と記載されていたのです。

このため、当時はワクチンの種類を問わず「接種当日は安静にし、入浴も控えてください」と説明するのが一般的でした。

その後、1994年の改正で「接種当日も入浴してよい」と変更されましたが、以前の慣習が残り、「接種当日は入浴を控えてください」と医療従事者に言われたり、本人や家族がそう思い込んでいたりするケースが、今でも少なくありません。

昔の法律ではなぜ入浴を控えるよう記載されていた?

昔はワクチン製造技術が未熟で、不純物が多く含まれていたため、発熱などの全身反応や接種部位の腫れが今より多く見られました。そのため、副反応を少しでも減らす目的で「安静」と「入浴を控えること」が指示されていたと考えられます。

また、当時は接種部位からの感染を防ぐ意味合いもありました。当時は多くの人が銭湯を利用しており、衛生状態の問題から公衆浴場で感染が起こるリスクを懸念したのではないでしょうか。

その後、技術の進歩で副反応が減り、家庭での入浴が一般的になったことから、「接種当日の入浴制限」は不要になりました。むしろ入浴しないことで清潔を保てない弊害の方が大きいため、法律も変更され、現在では接種当日でも入浴が可能とされています。

厚生労働省の見解

実際、2025年(令和7年)に発表された厚生労働省の定期接種実施要領では、以下のように明記されています。

接種後は、接種部位を清潔に保ち、接種当日は過激な運動を避けるよう注意し、 又は注意させること。

引用元:厚生労働省「定期接種実施要領」

「入浴を控える」という言葉は記載がなく、むしろ清潔に保つことが推奨されています。

実際に日常診療の現場でも、入浴後に副反応が強まったという報告はほとんどなく、むしろ体を清潔に保つことで皮膚トラブルを防ぐ効果が期待できます。
ただし、次のような場合には入浴を控える、あるいはシャワー程度にとどめるのが安心です。

  • すでに発熱や倦怠感などの副反応が出ている場合
  • 接種部位に強い腫れや痛みがある場合
  • 長時間遊びながらのお風呂(「過度な運動を避ける」という点)

これらを避ければ、基本的には普段通りの入浴で問題ありません。

まとめ:体調に応じて無理せず判断することが大切

予防接種当日の入浴は、昔と違って「基本的にOK」というのが現代の医学的な考え方です。ただし、体調がすぐれない場合や接種部位の腫れが強いときには、無理をせずシャワーにするなどの工夫をしましょう。
大切なのは「体調に合わせた柔軟な判断」です。お子さんが元気で普段通り過ごしているなら、お風呂で体を清潔に保つことはむしろ良い習慣です。反対に、ぐったりしているときや熱が高いときには、入浴を控えて安静にしてあげてください。

参考文献

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