
RSV(Respiratory Syncytial Virus:呼吸器合胞体ウイルス)感染症は、乳幼児に多く見られる呼吸器の感染症で、発熱や鼻水、咳が続き、重症化すると細気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。
保護者の方から特によくある質問が「RSVにかかったら、子どもはいつまで休ませる必要があるの?」という点です。ここでは登園・登校の目安や注意点をわかりやすく解説します。
※小学生以降ではRSウイルスに罹患しても風邪症状で終わることが多く、そもそも検査せず、RSウイルスと診断されないことがほとんどです。登校基準についてはこちらの記事に記載していませんが、登園基準と同様に扱って問題ないでしょう。
RSウイルスとは?

RSウイルスの「RS」はRespiratory Syncytialの略で、呼吸器合胞体と訳されます。RSウイルスという名前は、このウイルスが気管や気管支、肺など「呼吸に関わる臓器」に感染すること、そして実験で感染した細胞を観察すると、いくつもの細胞がくっついて大きなかたまり(合胞体)になる様子が見られることから付けられました。
RSウイルスは秋から冬にかけて流行しやすいウイルスで、2歳までにすべての子どもが一度は感染するといわれています。もともとは秋から冬にかけて流行しやすいとされていましたが、近年ではその季節性が薄れ、夏場に保育園や幼稚園などで流行することもあります。
初めて感染する乳児期では、ゼーゼー、ヒューヒューとした呼吸(喘鳴)や呼吸困難を起こしやすく、入院が必要になることもあります。
RSウイルスについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

登園の目安

RSウイルスはインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのように法律で出席停止期間を定められていません。そのため、一般的な風邪と同じように元気になって日常生活が送れるようになれば登園を再開することが可能です。
具体的には以下の3点を満たせば問題ないでしょう。
①熱が下がっていること

発熱が続いている間はウイルス量も多く、他のお子さんにうつす可能性が高いため、解熱してから登園・登校を考えることが大切です。発熱している間に無理して登園しても本人も辛いだけです。お家でゆっくりすごしましょう。
②呼吸状態が落ち着いていること

ゼーゼーした呼吸や咳が強い状態では、体力の消耗が激しいだけでなく、周囲に感染を広げやすくなります。呼吸が安定してから復帰するようにしましょう。多少の咳や鼻水が出ている状態であればRSウイルスに感染していると診断されたとしても登園して問題ありません。
③食欲・睡眠が戻っていること

家庭で普段通りの食事や睡眠がとれているかも大切な指標です。回復していても、まだ体力が落ちていると園で再び症状が悪化することがあります。
目安となる期間

RSウイルスはインフルエンザや新型コロナのように「出席停止の期間」が法律で決められているわけではありません。
そのため、上記症状が改善すれば登園は再開することが可能です。
RSウイルスは発症してから5〜7日程度経過した時に症状のピークが来やすいと言われています。そのため、発症してから1週間程度はお休みする可能性があります。(発症早期は普通の風邪のような経過なので登園している方も多いので、実際にお休みする期間はもっと短いことが多いでしょう。)
発熱や鼻水、咳のみであれば2~4日程度のお休みとなることが多いですが、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューした呼吸)が出現する場合ではもう少し長くなる傾向があります。
また、水分が接種できない(乳児の場合は哺乳できない)ぐらいぐったりしてしまう場合や、呼吸が荒くハァハァした呼吸になる場合、医療機関で酸素飽和度(指で測る酸素の点数)が低くなる場合などは入院が必要となることもあります。その場合はより長期的にお休みする必要があります。
医師の診断書は必要?

RSV感染症は出席停止の指定感染症ではないため、必ずしも診断書が必要なわけではありません。
ただし、園によっては「医師の登園許可書」を求められることがありますので、事前に確認しておくと安心です。
保護者の方へのアドバイス

- 無理に早く登園・登校させず、十分に休ませましょう
- 兄弟姉妹や家族内でも感染が広がりやすいため、手洗いや咳エチケットを徹底してください
- 乳児や基礎疾患のある子は重症化のリスクが高いため、少しでも呼吸が苦しそうな場合は早めに受診してください
まとめ
RSV感染症にかかった場合、いつまで休むかの目安は「熱が下がり」「呼吸状態が安定し」「普段の生活に戻れる」ことです。
多くの場合は 発症から5~7日程度 経過すれば登園を再開することができると思います。
RSウイルスは重症化すると入院することもあり、その場合はお休みする期間が長引きます。もし診断されたら無理はしないようにしましょう。
おぎくぼ小児科では、RSウイルスをはじめとした感染症に関するご相談や登園・登校の可否についてのご相談も受け付けています。ご不安があればお気軽にご相談ください。
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. RSウイルス感染症とは. 感染症情報提供サイト, IDWR2004年第22号. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/topics/040/index.html. 参照日:2025年9月9日
- 東京都健康安全研究センター 微生物部 ウイルス研究科 長谷川道弥. RSウイルス感染症について. 東京都微生物検査情報(月報)第25巻第3号. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/epid/y2004/tbkj2503/. 参照日:2025年9月9日



