手足口病、ヘルパンギーナ

どんな病気?

夏にはエンテロウイルスというウイルスが流行します。ヘルパンギーナはエンテロウイルスによって発熱、口内炎などの症状が出現する夏の風邪です。手足口病もこのエンテロウイルス感染で、その名の通り手、足、口に皮疹が出現します。また、おしりにも皮疹が出現することがあります。発熱はヘルパンギーナと比べるとあまり高くならないことが特徴的です。

ヘルパンギーナ

発熱と口内炎が特徴的な疾患です。口内炎はとても痛く、水分、食事をとることが難しくなります。ヘルパンギーナという名前は「ヘルペス(みずぶくれ=口内炎)」と「アンギーナ(痛み)」という言葉が繋がってできたと言われています。

流行するもののほとんどがエンテロウイルス属のA群コクサッキーウイルスによるものです。夏に流行し、4歳以下の子どもに多いです。

手足口病

同じエンテロウイルス属のウイルスによる感染症で、手、足、口、おしりに皮疹が出現し、口内炎もできます。

ヘルパンギーナに比べると熱はあまり高くないことが多い疾患です。

日本語では症状の通り「手足口病」と呼ばれますが、英語でもそのままで、「Hand-foot-and-mouth disease」と呼ばれます。

また、手足口病やヘルパンギーナなどの特徴的な症状がなくても、夏の風邪ではエンテロウイルスが原因と考えられています。

感染経路

咳やくしゃみなどで舞った唾液を通じて感染する飛沫感染や、便の中に排泄されたウイルスをが口から入って感染する糞口感染(接触感染含む)があります。特に、幼稚園や保育園では乳幼児間での接触が多く、集団発生することが多いことが特徴です。

発熱や口の痛みなどの症状が強い時に最も感染力が強いですが、症状消失後も4週間程度は便の中にウイルスが排泄されます。

症状

感染後2~4日の潜伏期間があり、その後症状が出現します。

ヘルパンギーナ

発熱に続いてのどの上側(軟口蓋、口蓋弓)に口内炎、みずぶくれができます。みずぶくれはやぶれて、浅い潰瘍(アフタ)ができます。発熱は2~4日続き、解熱後にやや遅れて口の中のアフタも消えていきます。

手足口病

手のひら、口の中、おしりなどに皮疹ができます。少し盛り上がった程度の皮疹のこともあれば、大きくみずぶくれができることもあります。発熱は約3分の1の人に出ますが、あまり高熱にならないことが多いです。

手のひらや足の裏にできた皮疹は乳児、幼児はそれほど痛がりませんが、小学校高学年以降の子どもでは非常に痛がることがあります。子どもによっては歩けなくなるほどです。

治療

ヘルパンギーナ、手足口病ともに風邪の一種です。専用のお薬や特効薬はありません。のどの痛みなどから水分摂取が低下し、脱水を起こさないようにこまめに水分を接種し、症状をやわらげる解熱鎮痛剤を使用しながら、子どもの免疫によって治るのを待ちます。

ヘルパンギーナ、手足口病では酸味が刺激に感じやすくなっています。オレンジジュースなどの柑橘系のジュースは避けましょう。牛乳、お茶、味噌汁、スープ、プリン、アイスクリーム、おかゆなどが取りやすいでしょう。

お茶は飲みやすいですが、糖分を含みません。ご飯がまったく取れない時はお茶だけでなく、糖分を含む飲み物を飲むようにしましょう。

登園・登校の目安

ヘルパンギーナ、手足口病のどちらも、学校保健法によって出席停止は定められていません。

症状が落ち着いた後も2~4週間は便の中にウイルスが排泄されますが、2~4週間も登園、登校を控えるのは現実的ではありません。そのため、ヘルパンギーナ、手足口病においては「周囲に感染させない状態」ではなく、「園、学校で日常生活を問題なく送れる状態」が登園、登校の目安といえます。

具体的には、解熱して、普段通り水分、食事が取れるようになれば登園、登校可能と判断して良いでしょう。

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!