子どもは急に発熱します。「このままどうにかなってしまうのではないか」と不安になってしまうこともあるでしょう。しかし、熱が高いだけで障害が残ることはありません。落ち着いて対応しましょう。
子どもの体温
子どもの体温にはいくつか特徴があります。代表的なものを挙げると以下のようなものがあります。
- 年齢が低いほど体温が高い
- 成長するにつれて低くなります。
- 測定時刻によって違う
- 高くなる時間 午後1~6時
- 低くなる時間 午前2~4時
- 測定箇所によって違う
- わきの下(腋窩温)より耳の中(鼓膜温)の方が高くなる
これらの特徴を踏まえた上で、発熱の目安は「わきの下の体温が37.5度以上となった時」です。
体温の測定方法
正しい体温の測定手順は下記の通りです。
- 汗をキチンと拭く
- わきの下のくぼみの真ん中に体温計を当てる
- 体温計は体の前下方から後上方に向かって挿入する
乳幼児では体温計を当てる時に嫌がったり、泣いてしまったりして体温計がずれやすいです。注意しましょう。
また、運動後や入浴後は避け、測定前は10分程度、安静にしましょう。
短い時間で体温を測定できますが、正しい方法で測定しないと誤差が大きくなります。耳アカを取り除かないと正しく測定できませんが、そもそも耳掃除は自宅ではおすすめされません。耳掃除は発熱がない時に耳鼻咽喉科を受診してやってもらいましょう。
発熱の原因
多くは感染症が原因です。例えば、かぜ、インフルエンザ、突発性発疹、中耳炎、胃腸炎などです。発熱は細菌感染、ウイルス感染が多いですが、子どもの発熱ではウイルス感染が圧倒的に多いです。
感染症以外には熱中症、脱水症、リウマチ熱、関節炎、白血病などが発熱の原因として挙げられます。
感染症による発熱は体内に侵入したウイルスや細菌などをやっつける、体の正常反応です。40度など高熱が出ると、「下げないと、何か大変なことになってしまうのではないか」と心配されることもあると思います。しかし、たとえ40度の発熱が出ていても、痙攣などもなく、意識がはっきりして元気があれば問題はありません。
逆に下記のような場合はすぐに医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。
- いつもと比べて明らかにぐったりしていたり、機嫌が悪い
- 顔色が悪く、表情がさえない
- 生後6ヶ月未満の発熱(特に生後3ヶ月未満)
- 咳がひどくて眠れない
- 下痢・嘔吐が止まらない
- けいれんが5分以上続く
発熱の診察、治療
医師の診察では保護者から聞いた情報と診察で得られた所見から発熱の原因を探ります。
- いつから発熱したか
- 体温はどのように変化したか
- 周囲で流行している病気はあるか
- 下痢、嘔吐、咳、鼻水など発熱以外の症状はあるか
- その他、いつもと違う様子はあるか
子どもの発熱はウイルス感染による風邪がほとんどです。風邪では根本的な治療法はなく、症状に合わせた治療(対症療法)を行い、子ども自身の免疫力で風邪ウイルスをやっつけます。
発熱時に処方されることの多い薬として解熱剤があります。体力の消耗がひどいときは解熱剤を使いましょう。しかし、むやみに解熱剤を使い、熱を下げるのはよくありません。発熱は体の防御反応だからです。また、解熱剤で熱が下がるのは一時的なものであり、病気が治ったわけではありません。
発熱時の注意点
安静
元気がない時は無理をさせず、ゆっくり休ませましょう。解熱してすぐに保育園等の登園を再開すると発熱がぶり返し、呼び出されることがあります。少なくとも解熱剤を使わずに24時間以上は発熱がないことを確認してから登園を再開するようにしましょう。
氷枕などで冷やす
子どもが嫌がる時は無理に冷やす必要はありません。
部屋の温度・湿度を快適に
暑すぎず、寒すぎないように部屋の温度を調整しましょう。また、保湿することによって鼻やのどが乾燥しないようにしましょう。
汗をかいたらこまめに着替えましょう
暑すぎず、寒すぎないように着るものを調節しましょう。また、汗をかいたまま放置すると汗が乾く時に体が冷えてしまいます。汗をかいた服はこまめに着替え、取り替えるようにしましょう。
水分補給
ご飯は食欲がなければ無理に取る必要はありません。イオン飲料や経口補水液(OS-1など)で水分を取らせましょう。乳児の場合は飲み慣れた母乳や人工ミルクの方が良いでしょう。
ご飯が取れない間、水やお茶のみで水分を補給していると低血糖となりやすいです。ご飯が取れない間はイオン飲料や経口補水液を始めとした糖分を含む水分を取るようにしましょう。イオン飲料や経口補水液が味的に摂取困難な場合はジュースでも構いません。
食事
体調が悪い時は食欲が落ちるものです。まずは水分補給を行い、無理せず消化の良いもの、食べやすいものを少しずつ食べるようにしましょう。
乳児
飲み慣れた母乳や人工乳を飲ませましょう。
離乳食期〜小学生
食欲がない時は水分補給もかねてアイスクリームやプリンなどを食べさせると良いでしょう。
食欲が出てきたら、エネルギー源である炭水化物や消化の良いタンパク質も取るようにしましょう。熱で失われがちなビタミンCやミネラルも補給しましょう。
- りんごのすりおろし
- 卵豆腐
- 野菜ぞうすい
- 煮込みうどん
- 白身魚やササミのポトフ
などなど…
Q & A
- 病院で以前に処方された解熱剤が残っています。使っても良いですか?
-
熱は体が病原体と戦っている証拠です。少々熱があっても機嫌が良く、元気なら水分を多めに与えて様子をみましょう。また、子どもが処方される解熱剤はその時の体重に合うよう計算されています。体重が変わっていると適切な量ではないことがあります。
- 熱性けいれんをおこしやすいのですが、解熱剤を使っても良いのでしょうか?
-
熱性けいれんを誘発するとして解熱剤が避けられた時代もありました。しかし、現在は熱性けいれんと解熱剤の使用は関係ないことがわかっています。そのため、熱性けいれんをおこしやすいからといって解熱剤の使用を避ける必要はありません。ただし、坐薬のけいれん予防の薬を使っている場合は解熱剤の使用方法に注意が必要です。医師の指示に従うようにしてください。
- 家にある抗生物質を飲んでも良いですか?
-
抗生物質は発熱の原因が細菌による感染症である時に使うお薬です。様々な種類があり、以前効いたからといって今回も効くとは限りません。医師は「今の」症状に合わせた抗生物質を選んで処方しますので、自分の判断で家に残っている抗生物質を使わないようにしましょう。
- 高熱が続くと、脳に障害が残るのでしょうか?
-
熱が高いだけで障害が残ることはありません。脳症や脳炎とを思わせる他の症状(ひどい吐き気、けいれん、頭痛、意識障害など)がなければほとんどの場合は心配ありません。
まとめ
夜間の急な発熱でも緊急受診が必ずしも必要ではないことをご説明しました。子どもの元気があるか、落ち着いて観察することが大切です。
最後に当院の受診の流れを記載しておきます。子どもの発熱でお困りでしたらぜひ一度ご来院ください。
当院の受診の流れ
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