赤ちゃんの夜泣きはいつまで続く?原因と家庭でできる対処法を小児科医が解説

結論: 夜泣きは赤ちゃんの発達過程で起こる自然な現象であり、多くの場合1歳頃までに落ち着きます。

  • 生後4〜12か月頃に多く見られ、ほぼすべての赤ちゃんが経験します(もちろん、ぐっすり眠るのが得意な赤ちゃんもいます)
  • 「生活リズムを整える」「睡眠環境を見直す」「自分で眠り直す力を育てる」が対処の3本柱です
  • 決まった寝る前のルーティンを作ることで、夜間の覚醒回数が減ることが研究で示されています
  • 親の休息を確保することも大切です。一人で抱え込まず周囲に頼りましょう

夜中に何度も起きて泣く赤ちゃんへの対応は、保護者の方にとって大きな負担になりえます。夜の休息が取れないと心身ともに疲弊し、本来楽しいはずの子育てもつらく感じてしまうことがあります。この記事では、夜泣きの原因を月齢別にわかりやすく解説し、ご家庭で実践できる対処法をお伝えします。

夜泣きとはどんな状態のこと?

夜泣きとは、お腹が空いている・おむつが濡れている・体調不良などの明確な理由がないのに、夜間(おおよそ深夜0時〜明け方5時頃)に赤ちゃんが泣き出し、あやしてもすぐには泣き止まない状態のことです。

生後0〜12か月頃の赤ちゃんにはめずらしいことではなく、ほぼすべての赤ちゃんが通る自然な発達過程です。

夜泣きの原因は月齢によってどう変わる?

夜泣きの原因は、赤ちゃんの脳と体の発達段階によって異なります。

月齢主な原因
新生児〜生後3か月昼夜の区別がまだなく、数時間おきに授乳・おむつ替えが必要。この時期の夜間覚醒は正常です
生後4〜6か月周囲の刺激への感受性が高まり、昼間の刺激が夜間の覚醒につながることがあります
生後7〜9か月人見知りや分離不安が始まり、眠りの途中で親の姿が見えないと不安で泣くケースが増えます
生後10〜12か月寝返りやハイハイなど身体の発達が進み、寝相が崩れて目覚めたり、日中の経験を処理するため眠りが浅くなることがあります

夜泣きは発達の一部であり、一時的なものです。多くの場合、成長とともに自然と落ち着いていきます。

夜中に泣き出したとき、どう対応すればいい?

焦らず落ち着いて、以下のステップで対応しましょう。

ステップ①:まず基本的な原因をチェック

  • お腹が空いていないか
  • おむつが濡れていないか
  • 暑すぎ・寒すぎではないか(体を触って確認)

不快の原因を取り除くだけで泣き止むこともあります。授乳やおむつ替えの際も、部屋は暗いまま、声は小さく、刺激は最小限に抑えましょう。

ステップ②:すぐに抱き上げず、少し見守る

空腹やおむつが原因でない場合は、数分間見守ってみましょう。赤ちゃんは睡眠サイクルの中で短い覚醒をはさむことがあり、数分ぐずった後に自分でまた眠りにつくのは正常なことです。

米国小児科学会(AAP)は、夜間に赤ちゃんが泣いてもすぐに反応しすぎないことを推奨しています。少し見守ることで、赤ちゃんが自分で眠りに戻る力を育むとされています。

ただし、激しく泣き続ける場合や、いつもと違う泣き方で体調不良が疑われる場合は、無理に放っておかずケアを行いましょう。

ステップ③:やさしく声かけ・トントンで安心させる

ベッドの中で背中をやさしくさすったり、「だいじょうぶだよ」と静かに声をかけたりして落ち着かせてみましょう。部屋は暗いまま、赤ちゃんと目を合わせすぎず、刺激を最小限に保ちます。

ステップ④:それでもダメなときは抱っこ→落ち着いたら寝床へ

トントンでも泣き止まない場合は、一度抱き上げて落ち着かせて構いません。ただし、泣き止んで少し落ち着いたら、完全に眠る前にそっと寝床に戻すのがポイントです。完全に寝てから置くと、また起きてしまうことが多いためです。

「寝かしつけ」で夜泣きは減らせる?

はい、寝かしつけの習慣を整えることで夜泣きを減らすことができます。

毎晩の「寝る前ルーティン」を作る

入浴 → 授乳(ミルク) → 絵本 → 子守歌 → 消灯、のような穏やかな流れを毎日同じ順序・同じ時間帯に行いましょう。

就寝前の一貫したルーティンを導入するだけで、入眠までの時間が短縮し、夜間の覚醒回数・時間が減少したとの研究報告があります。

「うとうと状態」で寝床に置く

寝かしつけの最大のポイントは、赤ちゃんを完全に眠る前(うとうと状態)でベッドに置くことです。

毎回抱っこや授乳で完全に寝かしてからベッドに置いていると、赤ちゃんは「寝るには抱っこ/おっぱいが必要」と認識し、夜中に目覚めた際にもそれを求めて泣きます。生後4か月を過ぎたら、少しずつ「寝付く過程を赤ちゃん自身に経験させる」練習をしてみましょう。

あくびをしたり、目をこすったりし始めたら「眠い」のサインです。そのタイミングでベッドに入れて部屋を暗くしてあげましょう。

授乳と就寝を切り離す

授乳しながら眠りに落ちる習慣がつくと、夜間に頻繁に起きやすい傾向が報告されています。

寝る前の授乳はしても構いませんが、授乳で眠ってしまう前に切り上げ、絵本を1冊読むなどワンクッションを挟んでから寝かせると、「授乳=入眠の道具」という関連づけを和らげられます。

睡眠トレーニングは取り入れるべき?

夜泣きが続き自力で寝つけない場合、「睡眠トレーニング(行動学的介入)」を取り入れることも選択肢です。

代表的な方法

方法内容
段階的消去法泣いてもすぐ行かず一定時間待ち、徐々に待つ時間を延ばす(例:2分→5分→10分)
ピックアップ・プットダウン法泣いたら抱き上げて落ち着かせ、また寝床に戻す
椅子移動法寝室でそばに椅子を置いて見守り、日ごとに椅子の位置を離していく

いずれの方法も「赤ちゃんが一人で眠れるよう、親の関与を段階的に減らしていく」点で共通しています。

効果と安全性

複数の系統的レビューにより、行動学的介入によって赤ちゃんの睡眠時間が延び、親の睡眠の質も向上することが確認されています。

また、米国小児科学会(AAP)による5年間の追跡調査では、睡眠トレーニングが子どもの情緒発達やストレス反応、親子関係に悪影響を及ぼさないことが示されています。

ご家庭の方針に合った方法を選び、数週間は根気強く続けることが大切です。

生活リズムと睡眠環境はどう整える?

日中の過ごし方と夜の睡眠環境を見直すことも、夜泣きの軽減に効果的です。

昼夜のメリハリをつける

赤ちゃんの体内時計(サーカディアンリズム)が整い始めるのは生後3〜4か月以降です。

  • : カーテンを開けて日光を浴びさせる
  • 日中: 積極的に話しかけたり遊んだりして活動的に過ごす
  • 夕方以降: 長い昼寝は避ける(ただし昼寝をまったくさせないのは逆効果です)
  • : 暗く静かに過ごす

「昼は楽しい時間、夜はつまらない時間」というメリハリが夜泣き対策の基本です。

寝室の環境チェックリスト

項目推奨
室温18〜20度前後(大人には少し涼しいくらい)
湿度50〜60%
照明できるだけ暗く(豆電球程度まで)
静か。必要ならホワイトノイズも有効
服装着せすぎ注意。靴下は履かせない(手足で放熱して体温調節するため)
寝具固くて平らなマットレス。枕・厚い掛け布団・ぬいぐるみは不要

テレビやスマートフォンの画面は刺激が強いため、寝る前は避けましょう。

安全な寝かせ方のポイントは?

夜泣き対策と合わせて、赤ちゃんの睡眠の安全も必ず確認しましょう。

日本小児科学会およびこども家庭庁は「乳児の安全な睡眠環境の確保について(2024年改訂版)」で以下を推奨しています。

  • 仰向けで寝かせる(うつ伏せ寝はSIDS・窒息のリスク)
  • 固くて平らな寝具を使い、枕・厚い掛け布団・ぬいぐるみは寝床に入れない
  • 同じ部屋、別の寝床で寝る(同室就寝は推奨、同床就寝は避ける)
  • たばこの煙を避ける(SIDS予防の3つのポイントの一つ)

こども家庭庁の報告によると、2024年にも50名以上の乳児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因として第3位です。安全な睡眠環境は命を守る基本です。

親自身の休息も大切にしましょう

夜泣き対応が長引くと、保護者に負担が集中しがちです。睡眠不足の蓄積は育児不安や産後うつの一因にもなりえます。

ある研究では、赤ちゃんの睡眠問題に対する行動介入が母親の睡眠の質を向上させ、抑うつ症状を軽減する効果が確認されています。

  • パートナーや家族と交代で夜の対応をする
  • 週末に数時間でもまとめて眠らせてもらう
  • 赤ちゃんが昼寝している間に一緒に仮眠をとる
  • つらいときは子育て支援センターや保健師に相談する

親が心身ともに余裕を持つことは、赤ちゃんの安心にもつながります。 一人で抱え込まず、周囲に頼ることも大切な子育てです。

こんなときは小児科を受診しましょう

以下のような場合は、夜泣き以外の原因が隠れている可能性があります。早めに受診しましょう。

  • いつもと違う泣き方をしている(甲高い・弱々しいなど)
  • 発熱、嘔吐、下痢など体調不良の症状がある
  • 体重の増えが悪い、哺乳量が減っている
  • 保護者が極度に疲弊し、日常生活に支障が出ている

よくある質問

Q. 夜泣きはいつまで続きますか?

A. 個人差はありますが、多くの赤ちゃんは1歳を過ぎる頃には夜通し眠れるようになり、夜泣きも落ち着いてきます。生後4〜12か月がピークです。

Q. 泣いている赤ちゃんを放っておいても大丈夫ですか?

A. 安全を確認した上で数分見守ることは問題ありません。米国小児科学会(AAP)による5年追跡調査でも、睡眠トレーニングが子どもの情緒や親子関係に悪影響を与えないことが確認されています。ただし激しく泣き続ける場合は対応しましょう。

Q. 添い寝はしてもよいですか?

A. 同じ部屋で寝る「同室就寝」は推奨されていますが、同じベッドで寝る「同床就寝」はSIDSや窒息のリスクがあるため避けましょう(日本小児科学会・こども家庭庁「乳児の安全な睡眠環境の確保について 2024年改訂版」)。

Q. 夜間の授乳はいつまで必要ですか?

A. 生後5〜6か月を過ぎると、栄養面では夜間の授乳は必ずしも必要ではなくなってきます。ただし、お子さんの成長や体重の増え方によって異なるため、かかりつけ医に相談しながら判断しましょう。

Q. 夜泣きがひどく、親が限界です。どこに相談すればいいですか?

A. かかりつけの小児科のほか、お住まいの自治体の子育て支援センター、保健センター(保健師への相談)が利用できます。産後うつの兆候がある場合は、産婦人科や心療内科への相談も検討しましょう。

まとめ

  • 夜泣きは発達過程の自然な現象で、多くの場合1歳頃までに落ち着きます
  • 生活リズムを整え、毎晩の寝る前ルーティンを作ることが効果的です
  • 「うとうと状態で寝床に置く」 ことで、赤ちゃんが自分で眠り直す力を育てましょう
  • 安全な睡眠環境(仰向け寝・固い寝具・同室別床) を必ず確認しましょう
  • 親の休息も大切です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用しましょう

参考文献

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