日本では定期予防接種の多くが高い接種率を維持していますが、一部のワクチンでは「忘れられがち」「打ち漏れが起きやすい」と指摘されています。ここでは、公的データをもとに、未接種の割合が目立つワクチンを整理し、接種を促進するための実践的なヒントを紹介します。
忘れられやすい定期接種と未接種の割合
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(女子:小6〜高1相当)
2024年度の全国「年間実施率」は以下の通りです。
1回目:82.2%(未接種17.8%)
2回目:66.7%(未接種33.3%)
3回目:26.5%(15歳未満は2回法が多いため対象者が限られます).
2023年度、2022年度のデータも合わせると、1回目、2回目の接種率は3年連続で上昇しています。日本では誤った認識によってHPVワクチンの接種がなかなか普及しませんでした。女児の定期接種化、男児に対する助成などでこれからさらに普及すると良いですね。

日本脳炎
全国一括データは限定的ですが、自治体調査では1期追加や第2期で打ち漏れが多く見られます。
埼玉県の調査によると、
1期追加(平成30年生まれ):63.9%(未接種36.1%)
1期追加(令和元年生まれ):40.6%(未接種59.4%)(観察期間途中の影響あり)
2回目の接種から1年あくのと、4歳の定期予防接種は日本脳炎以外ないので忘れやすいのかもしれませんね。
二種混合(DT:11〜12歳の追加)
全国の最新集計はありませんが、自治体実績では8割前後に留まる例が報告されています。
令和4年度の長野県松本市の統計では接種率が82.2%でした。
未接種が目立つワクチンの傾向
- HPVワクチン:1回目で約18%、2回目で約33%が未接種。接種率は改善傾向。
- 日本脳炎ワクチン:1期追加で接種忘れが起きやすい
- 二種混合(DT):約2割が未接種の報告もある。
接種促進のヒント
接種忘れが起きやすいタイミングを知る
定期接種の多くは前回接種や他の予防接種と間隔があくタイミングのものです。
なかなか気が付くのは難しいと思いますが、定期的に予防接種のスケジュールを確認したり、同級生の保護者間で情報を共有することが大事でしょう。
保護者ができる接種管理
接種券が届いたらすぐにスマホカレンダーへ登録する習慣をつけましょう。
兄弟姉妹の接種時期を同時に確認し、母子手帳アプリや予防接種スケジュール管理サイトを活用するのも有効でしょう。
当院の取り組み
当院で予防接種を受けた方は「次に受けられる予防接種の種類」と「接種時期」について付箋を母子手帳に貼付する取り組みを実施しております。当院で接種したことがある方は時々母子手帳を見返してみてくださいね。
参考文献
- 厚生労働省.“HPVワクチンの実施状況について(令和6年度・速報値)”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001522678.pdf,(参照2025-10-11).
- 埼玉県健康医療部.“令和5年度 予防接種実施状況(各論)”.埼玉県公式ホームページ.https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/246407/5_r6yobousessyu-chousakekka-kakuron_.pdf,(参照2025-10-11).
- 松本市保健福祉部.“第6章 予防接種(新興感染症を除く)”.松本市公式サイト.https://www.city.matsumoto.nagano.jp/uploaded/attachment/91135.pdf,(参照2025-10-11).

