
アタマジラミは頭部に寄生する寄生虫で、主に子どもの集団生活(保育園・幼稚園・学校)をきっかけに感染が広がります。
頭皮を吸血することでかゆみが生じ、髪の毛には涙型(しずく型)の白っぽい虫卵(卵)が付着します。フケと違い、指で簡単には取れないのが特徴です。
主な症状の特徴
・頭皮の強いかゆみ
・耳の後ろ、うなじ、生え際のかゆみ
・毛幹にしっかり付着した白〜黄白色の卵
・掻き壊しによる湿疹やとびひのような症状を伴うこともあります
基本的な治療方法(第一選択)
アタマジラミの治療は市販のシラミ用駆除薬が基本です。
使用する薬剤
スミスリン®Lシャンプー(フェノトリンシャンプー)
正しい使い方
- シラミが寄生している頭髪を、水またはぬるま湯であらかじめ濡らします
- 頭髪全体に10〜20mL程度を使用し、特に生え際・耳の後ろ・うなじに十分いきわたるようにシャンプーします
- シャンプー後、5分間放置します
- 水またはぬるま湯で十分に洗い流します
- この操作を1日1回、3日に1度(2日おき)、3〜4回繰り返します
卵は1回の治療では残るため、回数と間隔を守ることが重要です。
治療が効かない場合(薬剤抵抗性アタマジラミ症)
近年、フェノトリンに反応しにくい薬剤抵抗性アタマジラミが報告されています。
上記治療で改善が乏しい場合は、作用機序の異なる薬剤を使用します。
使用する薬剤
アース シラミとりローション®(ジメチコン含有製剤)
この薬は殺虫剤ではなく、シラミの気門(呼吸孔)を物理的に塞ぎ、窒息させることで駆除します。
正しい使い方
- 頭髪は濡らさず、乾いた状態で使用します
- 髪の毛の生え際を中心に、均等になるよう十分量を塗布します
(目安量:25〜50mL/回) - 目・耳・鼻・口に入らないよう注意し、5分間待ちます
- 水またはぬるま湯で十分に洗い流した後、通常のシャンプーで洗髪します
(気になる場合は2回洗髪して問題ありません) - この操作を1日1回、2〜3日おきに、計3回繰り返します
再感染を防ぐためのポイント(感染予防)
治療と同時に生活環境の対策が重要です。
・ヘアブラシ、帽子、タオルの共用は中止する
・兄弟姉妹がいる場合は、症状がなくても同時にチェックする
・感染が疑われる場合は、家族全員を一斉に治療すると再感染予防に有効
・寝具や衣類は通常の洗濯で問題ありません(特別な消毒は不要)
受診の目安
・市販薬を正しく使用しても改善しない
・かゆみが強く、湿疹や化膿を伴う
・診断がはっきりしない場合
このような場合は、小児科・皮膚科での相談をおすすめします。
まとめ
アタマジラミは正しい知識と適切な治療を行えば、家庭で対応可能な感染症です。
重要なのは、用法・回数を守ることと、家族内・集団内での再感染を防ぐ視点です。
治りが悪い場合は、薬剤抵抗性の可能性を考え、ジメチコン製剤への切り替えを検討しましょう。



