
ヘパリン類似物質は、血液をサラサラにするヘパリンという成分に似た構造を持つ外用薬で、主に保湿を目的に使用されます。乾燥肌、アトピー性皮膚炎、湿疹など、幅広い皮膚トラブルに処方される代表的なお薬です。先発品は「ヒルドイド®」であり、剤形によって使い心地や保湿力が大きく異なります。
先発品は「ヒルドイド®」ですが、現在は同じ有効成分を含むジェネリック医薬品も多数存在します。そのため、2024年10月から、先発品を希望した場合には「選定療養費」という追加費用がかかるようになりました。ジェネリックを選べば追加費用は不要ですが、先発品を選ぶと100gあたり数百円程度の負担が上乗せされます。
本記事では、油性クリーム・クリーム・ローション(乳剤性)・ローション(水性)・泡状外用液の特徴や、先発品を希望された際の選定療養費を比較しながら、選び方のポイントを解説します。
油性クリーム(先発品:ヒルドイドソフト軟膏)

- 塗りやすさ:やや硬めでのびは控えめ。
- ベタつき:強め。保護膜を作る力が強い。
- 保湿力:非常に高い。乾燥が強い方におすすめ。
- 選定療養費(200gあたり・保険と公費で自己負担が0円の場合):693円
クリーム(先発品:ヒルドイドクリーム)

- 塗りやすさ:のびが良く、日常的に使いやすい。
- ベタつき:中等度。しっとり感と軽さのバランスが良い。
- 保湿力:中~高。広範囲に塗るのにも適している。
- 選定療養費(200gあたり・保険と公費で自己負担が0円の場合):693円
ローション<乳剤性>(先発品:ヒルドイドローション)

- 塗りやすさ:液状でサッと広がり、広範囲に使える。
- ベタつき:少なめでさっぱり。
- 保湿力:軽め。夏場や日常使いに適している。
- 選定療養費(200gあたり・保険と公費で自己負担が0円の場合):726円
ローション<水性>(先発品:なし)

- 塗りやすさ:液状でサッと広がり、広範囲に使える。乳剤性よりさらに広げやすい。
- ベタつき:乳剤性より少なく、よりさっぱりした使い心地。
- 保湿力:乳剤性より軽い。夏場や乾燥が強くない場合に適している。
※水性ローション(先発品)は存在しません。そのため、選定療養費の設定もありません。
泡状外用液(先発品:ヒルドイドフォーム)

- 塗りやすさ:泡で出るため、のばしやすく手軽。
- ベタつき:ほとんどなし。さらっと仕上がる。
- 保湿力:軽め。頭皮に塗りやすい。
- 選定療養費(184gあたり・保険と公費で自己負担が0円の場合):396円
まとめ
・乾燥が強い・冬場向け → 油性クリーム
・日常使いにバランスが良い → クリーム
・夏場や軽めの保湿を希望 → ローション(乳剤性)
・ベタつきが苦手・広範囲をサッと塗りたい、頭皮に使用したい → 泡状外用液
乾燥が特に強い方や冬場の保湿には、しっとり感が持続する油性クリームが適しています。毎日のスキンケアとしてバランスよく使いたい場合には、のびが良く扱いやすいクリームがおすすめです。暑い季節や軽めの保湿で十分な方には、さらっとした使い心地のローション(乳剤性)が向いています。さらに、ベタつきが苦手な方や広範囲にサッと塗りたい場合、あるいは頭皮など毛が生えている部位に使用したい場合には、のばしやすいローション(水性)、泡状外用液が便利です。

