赤ちゃんの頭の形は成長とともに改善する?ヘルメット治療を受けないと改善しない?

気になる「赤ちゃんの頭の形」

赤ちゃんの頭の形に違和感を覚え、「このまま様子を見てもいいの?」「将来どうなるの?」と心配になる保護者の方は多くいます。

実際、東京都杉並区にあるおぎくぼ小児科でも日々、同じように心配された保護者の方が受診されています。これは現代の育児における大きな関心事です。

その中でもっとも多く質問されるのは、

ヘルメット治療を受けなくても成長とともに改善しますか?

という質問。

今回はこの質問について、研究データをもとに解説します。

本記事は位置的頭蓋変形を対象とした記事です。「頭蓋骨縫合早期癒合症」と診断された方、または「頭蓋骨縫合早期癒合症」を検査で除外されていない方にはあてはまりません。

結論:成長とともに改善するが、改善の程度は人による

赤ちゃんの頭の形のゆがみ(変形)は、成長とともにある程度自然に改善することが多いです。特に軽度なケースでは、定頚(首が座る)が始まる生後4か月ごろから、頭への圧力が分散されて自然な形に戻っていくことが期待できます。

しかし、すべての赤ちゃんが完全に治るわけではありません。改善のスピードや程度には個人差があり、自然な改善が不十分なまま残ることもあります。

頭蓋骨は乳児期にはやわらかく、環境や姿勢の影響を受けやすいため、改善が見込める期間にも限りがあります。

最初のうちは「様子を見る」で問題ないこともありますが、適切なタイミングで医療期間を受診することが、のちの後悔を防ぐカギになります。

原因:なぜ赤ちゃんの頭の形がゆがむのか

赤ちゃんの頭の形がゆがむ理由は、複数指摘されています。しかし、多くは向き癖によるものです。

 向き癖(好んで同じ方向を向く習慣)

赤ちゃんは寝ている時間が長く、また視覚や聴覚などの刺激に敏感に反応するため、自然とお気に入りの方向を向くようになります。この「向き癖」により、常に同じ場所に頭の重さがかかることで、頭の後ろや側面が平坦になることがあります。

自然経過で治る確率は? ― 重症度・月齢別にみる改善率の違い

「赤ちゃんの頭の形は自然に治る」とよく言われますが、すべてのケースが自然に改善するわけではありません。改善の程度は、研究によって大きく異なります。

自然に治る可能性はどれくらい?

いくつかの研究がありますが、ここではニュージーランドと日本の研究を取り上げたいと思います。

ニュージーランドの研究

出生した新生児の頭の形を2歳まで追いかけた研究です。頭の形のゆがみは生後4ヶ月で最も多く、20%でした。多くは無治療で経過観察され、生後2歳時には3.3%に頭の形のゆがみがありました。

※この研究では、短頭症は軽症以上、斜頭症は概ね中等症以上を「頭の形のゆがみがある」と定義しています。

日本の研究

出生した新生児の頭の形を生後1ヶ月〜生後6ヶ月まで追いかけた研究です。生後1ヶ月の赤ちゃんの50.0%が頭の形にゆがみがありました。頭の形は生後3ヶ月頃に最も悪化し、その後自然と改善する傾向が認められました。生後6ヶ月時点では約44.6%が頭の形にゆがみが残っていました。また、生後1ヶ月での頭の形のゆがみが生後6ヶ月でのゆがみの度合いと一致する傾向があることもわかりました。

※この研究では短頭症は軽症以上、斜頭症は軽症以上(日本の基準)を「頭の形のゆがみがある」と定義しています。

どちらの研究でも生後3〜4ヶ月頃に最も頭の形のゆがみが大きくなり、その後徐々に改善することがわかります。日本の研究では生後6ヶ月までしか追跡されていないため、2歳時まで追跡した場合については不明瞭です。

2歳まで待てる?

ヘルメットの治療開始時期は生後2ヶ月〜8ヶ月。

また、ヘルメットによる治療は生後6ヶ月までに開始することが望ましいと複数の研究で指摘されています。

通常、首が座ってから治療を開始することが多いため、生後4~6ヶ月で治療を開始することが多いでしょう。

2歳になった時、頭の形のゆがみがどの程度残っているか、正確に予測する方法は現時点ではありません。かつ、2歳になった時、頭の形のゆがみが残っていた場合、すでにヘルメット治療を行うことはできません。

まとめ:頭の形のゆがみは成長とともに改善するが、どこまで改善するかはわからない。

赤ちゃんの頭の形は、生後3〜4か月を過ぎて首がすわり、寝返りができるようになってくると、少しずつ整ってくる傾向があります。実際に、いくつかの研究でもそうした自然な改善が見られることが報告されています。

ただし、「どれくらい治るのか?」という点については、予測がとても難しいのが現実です。しかも、頭の形が最終的にどうなるかがわかる前に、ヘルメット治療を始めるかどうかを決めなければなりません。これが、赤ちゃんの頭の形への対応でいちばん悩ましいポイントです。

赤ちゃんの頭の形を整える治療には、行える時期が限られています。気になる場合は、まずは一度、医療機関で相談してみるのがおすすめです。

東京都杉並区にある【おぎくぼ小児科】では、「頭のかたち外来」を行っています。WEBから簡単にご予約いただけますので、「もしかしてうちの子も…」と心配な方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  • Hutchison, B Lynne et al. “Plagiocephaly and brachycephaly in the first two years of life: a prospective cohort study.” Pediatrics vol. 114,4 (2004): 970-80. doi:10.1542/peds.2003-0668-F
  • Miyabayashi, Hiroshi et al. “Cranial Shape in Infants Aged One Month Can Predict the Severity of Deformational Plagiocephaly at the Age of Six Months.” Journal of clinical medicine vol. 11,7 1797. 24 Mar. 2022, doi:10.3390/jcm11071797
  • Takamatsu, Ako et al. “Evaluation of the Molding Helmet Therapy for Japanese Infants with Deformational Plagiocephaly.” JMA journal vol. 4,1 (2021): 50-60. doi:10.31662/jmaj.2020-0006
  • Graham, Tiffany et al. “Effects of Initial Age and Severity on Cranial Remolding Orthotic Treatment for Infants with Deformational Plagiocephaly.” Journal of clinical medicine vol. 8,8 1097. 24 Jul. 2019, doi:10.3390/jcm8081097
  • Kluba, Susanne et al. “What is the optimal time to start helmet therapy in positional plagiocephaly?.” Plastic and reconstructive surgery vol. 128,2 (2011): 492-498. doi:10.1097/PRS.0b013e31821b62d6

予防接種と診察を一緒に受けたい方はこちら

所在地

〒167-0043

東京都杉並区上荻1-21-21

SYMPHONY MARE 1階

・荻窪駅西口から徒歩4分
・駐輪場完備
・当院への詳しいアクセスについてはこちら
・駐車場はありません。
 近隣のコインパーキングについてはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!