
これまでシルガード9(ヒトパピローマウイルス〔HPV〕ワクチン)は、主に女性を対象に子宮頸がんの予防を目的として接種されてきました。しかし、2025年より日本でも 男性への接種が正式に適用 となり、幅広い世代で接種が推奨されるようになりました。
HPVワクチン「シルガード9」とは

- HPVの9種類(6・11・16・18・31・33・45・52・58型) による感染を予防します。
- 女性では子宮頸がんを予防する効果があります。
- 男性では尖圭コンジローマ(性感染症の一つ)、肛門がんの予防につながります。
なぜ男性にも接種が必要?

- HPVは性行為を通じて男女ともに感染します。
- 男性も感染により 尖圭コンジローマやがんのリスク を抱えています。
- 感染予防はご本人だけでなく、 パートナーへの感染拡大防止 にもつながります。
- 欧米ではすでに男性への接種が広く行われており、日本も国際的な流れに合わせた対応となりました。
接種対象と回数

- 9歳以上の男性 が対象です。
- 15歳未満での接種は 2回法(0か月・6か月)、15歳以上は 3回法(0か月・2か月・6か月) で行います。
- 公費での助成については自治体ごとに対応が異なりますので、詳細は各自治体にお問い合わせください。
ガーダシルとシルガード9の違い

項目 | ガーダシル(4価 HPVワクチン) | シルガード9(9価 HPVワクチン) |
---|---|---|
予防対象となるHPV型 | 6, 11, 16, 18 型 | 6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58 型 |
接種回数と間隔 | 3回:初回 → 2か月後 → 6か月後 | 15歳未満開始:2回(初回 → 6か月後) 15歳以上開始:3回(初回 → 2か月後 → 6か月後) |
杉並区における男性への費用助成 | あり(詳細は杉並区ホームページをご参照ください) | なし(2025年9月4日時点) |
シルガード9は男性も適応となったものの、定期接種にはなっておらず、全額自費の任意接種です。シルガード9を2~3回、すべて自費で接種するには数万円必要で、経済的に大きな負担となります。小学校6年生〜高校1年生の男性は杉並区在住であれば無料で接種することが可能です。シルガード9より対応する血清型は少なくなりますが(シルガード9は9種類、ガーダシルは4種類)、それでも十分な効果を発揮してくれます。
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まとめ
シルガード9を男性が接種できるようになったことは、これまで女性を中心に行われていたHPVワクチン接種を、男性にも広げる大きな一歩となりました。
男女ともにHPV感染を防ぐことが、将来的ながんや性感染症の予防につながります。
ご自身の健康だけでなく、大切な人を守るためにも、接種についてぜひご検討ください。
当院では、以下のいずれも対応しております。
- 男性に対する自費のシルガード9
- 男性に対する杉並区の助成を利用したガーダシル
- 女性に対する定期接種のシルガード9
子宮頸がんは若くして亡くなる方も多い、恐ろしい病気です。ワクチンで予防できる疾患はしっかり予防していきましょう。
参考文献・ウェブサイト
- MSD株式会社.“9価HPVワクチン「シルガード®9水性懸濁筋注シリンジ」肛門がんの予防の適応追加と男性への接種対象拡大について承認を取得”.https://www.msd.co.jp/news/product-news-20250825/?utm_source=chatgpt.com.(入手2025‑09‑04)
- MSD株式会社.“ガーダシル®の用法及び用量”.MSD Connect 医薬品関連情報.https://www.msdconnect.jp/products/gardasil-silgard9/info/gardasil-usage/,(参照 2025-09-04).

