中耳炎は乳幼児に多くみられる病気ですが、なかには何度も繰り返してしまう「反復性中耳炎」に悩むご家族も少なくありません。この記事では、繰り返す中耳炎の原因や予防法について、最新の医療情報をもとにわかりやすく解説します。
反復性中耳炎とは
繰り返す中耳炎は「反復性中耳炎」と呼ばれ、「過去6か月以内に3回以上、12か月以内に4回以上の急性中耳炎にかかる」状態とされています。
中耳炎を繰り返すのはなぜ？主な原因とは
中耳炎は、鼻や喉にいる細菌が耳へと移動し、炎症を引き起こすことで発症します。特に以下のような要因が重なると、繰り返すリスクが高まります。
- 2歳未満で免疫力が未熟
- 集団保育などで風邪をひきやすい環境
- おしゃぶりの常用
- アレルギー性鼻炎や喘息などの持病がある
また、抗菌薬の使い過ぎにより、薬が効きにくい「耐性菌」が増えることも再発の一因です。
【予防法①】ワクチン接種で中耳炎を防ぐ
肺炎球菌ワクチン（プレベナー20®）
肺炎球菌は中耳炎の主な原因菌のひとつ。2025年6月時点では20種類の肺炎球菌に対応したワクチン「プレベナー20」が定期接種として用いられています。定期予防接種をスケジュール通り接種することがとても大切です。
✅ 2歳未満でも効果的に免疫を獲得できる
✅ 保育園などでの集団感染を防ぐ「集団免疫効果」も期待
Hibワクチンとの違い
Hibワクチンは「髄膜炎」などの重症感染症には有効ですが、中耳炎の予防にはあまり効果がありません。無莢膜型インフルエンザ菌という中耳炎の原因菌には効かないためです。
【予防法②】生活習慣を見直そう
1. 鼻水はこまめにケア
鼻水を放置すると細菌が耳へと移動しやすくなります。吸引器の使用がおすすめです。ご家庭で使用される場合はメルシーポットがおすすめです。アマゾンや楽天でも購入できるため入手しやすく、十分な性能があります。販売価格は約1万円とお高めですが、使用頻度と中耳炎予防効果を考えるとお得感があります。
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2. おしゃぶりの見直し
おしゃぶりは中耳炎のリスクとなる報告があります。日常的に使っている場合は、おしゃぶりの使用頻度を減らすことも考えても良いでしょう。
3. 基礎疾患がないかチェック
頻度は低いですが、基礎疾患としてアレルギー性鼻炎や気管支喘息,胃酸逆流,免疫不全などが隠れている可能性があります。気になる場合はご相談ください。
【予防法③】体質改善に漢方薬を取り入れる
十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）などの漢方薬も有効です。実際に、反復性中耳炎のお子さんに十全大補湯を3か月間服用させた研究では、以下のような効果が報告されました。
- 急性中耳炎の発症頻度が有意に減少
- 風邪（鼻かぜ）の回数も減少
- 抗菌薬を使う日数も短縮
漢方は、感染を予防する「体の底力」を高めてくれるアプローチといえます。
【予防法④】鼓膜チューブ挿入も選択肢に
どうしても中耳炎を繰り返してしまう場合には、鼓膜に小さなチューブを入れて通気を良くする手術もあります。
✅ 耳の痛みや発熱の軽減
✅ 抗菌薬の使用を減らせる
✅ 聴力の回復にもつながる
小児科クリニックではチューブを入れる手術を行うことができません。耳鼻咽喉科への受診が必要となります。
まとめ
ワクチン、生活改善、漢方、手術など、お子さんの年齢や体質に合わせた対策を行うことが大切です。
繰り返す中耳炎でお困りの方は、ぜひおぎくぼ小児科へご相談ください。
参考文献
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