子どもの紫外線対策と日焼け止めの正しい選び方・使い方

夏になると、公園遊びやプール、キャンプなど外で過ごす時間が増えます。その一方で注意したいのが「紫外線(UV)」です。

子どもの肌は大人より角質層が薄く皮脂も少ないため、紫外線によるダメージを受けやすい状態です。さらに、子どものころに浴びた紫外線は皮膚に蓄積され、将来的にシミやしわ、皮膚がんなど健康上のリスクになることも分かっています。

紫外線を浴びすぎると

  • シミ・しわなどの皮膚老化
  • 皮膚がんのリスク上昇
  • 白内障や翼状片などの眼の病気

が起こりやすくなります。子どもの時期こそ紫外線対策を始めることが大切です。

UVAとUVBの違い

紫外線には主に紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)があります。

  • UVA
    波長が長く、肌の奥(真皮)まで届きます。長時間浴びるとコラーゲンを壊し、シワやたるみなど「光老化」の原因になります。窓ガラスや曇りの日でも透過します。
  • UVB
    波長が短く、皮膚表面に作用します。赤みやヒリヒリを引き起こす日焼け(サンバーン)の原因です。

つまり、UVBはすぐの赤みや炎症を起こす紫外線、UVAは将来のシワや老化につながる紫外線と覚えると分かりやすいでしょう。

SPFとPAの違い

日焼け止めのパッケージには「SPF」や「PA」といった表示があります。

  • SPF(Sun Protection Factor)
    主に UVBを防ぐ効果 を示します。数値は「日焼けが始まるまでの時間を何倍延ばせるか」を表します。SPF30なら、通常20分で赤くなる肌を約10時間(20分×30倍)まで守れるという理論値です。
  • PA(Protection Grade of UVA)
    UVAを防ぐ効果 を示し、「+」の数で強さを表します。
    • PA+:効果がある
    • PA++:かなり効果がある
    • PA+++:非常に効果がある
    • PA++++:極めて高い効果がある
日本化粧品工業連合会編「紫外線防止用化粧品と紫外線防止効果」より

普段の生活にはSPF20〜30、PA++程度あれば十分です。水辺やキャンプなど強い日差しの下ではSPF40〜50、PA+++以上を選びましょう。

日焼け止めの原理

日焼け止めは、大きく2つの仕組みで紫外線を防ぎます。

  • 紫外線散乱剤(ノンケミカル)
    肌の表面で紫外線を反射・散乱させる。酸化亜鉛や酸化チタンなど。肌に優しく肌の弱い方や子どもに向く。
  • 紫外線吸収剤(ケミカル)
    紫外線を吸収し、熱(人が感じるような熱ではありません)や赤外線に変換して放出する。パラアミノ安息香酸など。使い心地が良く白浮きしにくいが、ノンケミカルと比較すると接触生皮膚炎などの副作用が生じやすい。

こどもの場合はノンケミカルを優先して使用した方が良いでしょう。特に乳児湿疹やアトピー性皮膚炎などを基礎疾患に有する場合はノンケミカルの方が肌に優しく、トラブルが少ないでしょう。

日焼け止めの正しい使い方

環境省:紫外線環境保健マニュアルより
  • 顔・耳の裏・首・足の甲など露出部全体にまんべんなく塗る
  • 2〜3時間ごと、汗や水遊び後は塗り直す
  • 1日の終わりには石けんやベビーソープで優しく洗い流し、保湿を忘れずに

日焼け止めは塗るタイミングや量、落とし方まで意識することで、初めて十分な効果を発揮します。

塗る場所は顔や腕、足といった分かりやすい部分だけでなく、耳の裏や首の後ろ、足の甲なども忘れがちなポイントです。こうした部位もしっかりカバーしてあげると安心です。

また、日焼け止めは一度塗っただけでは落ちてしまいます。汗をかいたり水遊びをしたあとはもちろん、長時間外で過ごすときには2〜3時間ごとに塗り直すことを心がけましょう。ウォータープルーフの製品を使っていても、完全に落ちないわけではありません。

使ったあとは肌に残さないことも大切です。1日の終わりには石けんをしっかり泡立てて、やさしく洗い流してあげてください。ゴシゴシこすらず、泡でなでるように落とすのがコツです。その後は普段の保湿剤でしっかりケアして、乾燥や湿疹を防ぎましょう。

日焼け止めだけに頼らない紫外線対策

  • 紫外線が最も強い10時〜14時の外出はできるだけ避ける
  • 日陰やテントを利用する。曇りの日も注意が必要
  • つば広帽子やUVカット衣類を着せる
  • プールや水遊びではラッシュガードと耐水性日焼け止めを併用

紫外線対策は日焼け止めだけではありません。生活の中でちょっとした工夫を加えることも大切です。

まず意識したいのが外出の時間帯です。紫外線は午前10時から午後2時ごろが一番強くなります。この時間を避けて外遊びや散歩を計画できると、子どもの肌を守ることにつながります。

また、日陰を選んで遊んだり、テントやパラソルを使うことで直接浴びる紫外線を減らせます。曇りの日でも紫外線は80%以上届くとされているため、天気にかかわらず工夫が必要です。

帽子や衣類も効果的です。つばの広い帽子は顔や首をしっかり覆い、UVカット加工の衣類は肌を守ってくれます。夏場は薄手の長袖やラッシュガードもおすすめです。特にプールや水遊びのときには、ラッシュガードと耐水性の日焼け止めを組み合わせることで、肌のダメージを最小限に抑えられます。

よくある質問

Q. 薬や虫よけと一緒に使えますか?
A. 使えます。「塗り薬 → 日焼け止め → 虫よけ」の順で使いましょう。

Q. ビタミンD不足になりませんか?
A. 人はUVBを浴びることでビタミンDを得ることができます。そのため適度に紫外線を浴びることはとても重要です。紫外線の数少ないメリットといえます。バランスが重要ですが、過度な紫外線対策でなければビタミンDが不足することはありません。夏場はしっかり紫外線対策を行いましょう。

まとめ

  • UVAはしわやたるみなどの光老化を、UVBは赤みやヒリヒリを起こす紫外線
  • SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ指標
  • SPFやPAはシーンに応じて使い分ける
    • 普段の生活には SPF20〜30、PA++程度 、水辺やキャンプなど強い日差しの下では SPF50、PA+++以上
  • 日焼け止めは正しい量をこまめに塗り直し、使用後は優しく落として保湿をする
  • ノンケミカルを優先して使用する
  • 日焼け止め以外の紫外線対策と併用する

日焼けは「軽いやけど」です。小さな頃からの紫外線対策が、将来の健康な肌を守ります。日焼け止めを適切に使用して暑い夏を乗り切りましょう。

参考文献・ウェブサイト

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