
結論: 同じシーズンにインフルエンザに2回かかることは、珍しくありません。インフルエンザウイルスにはA型・B型などの種類があり、型が異なれば別々に感染します。
- A型とB型は抗原構造が異なるため、片方に感染しても、もう片方への免疫は得られません
- A型のなかにも「H1N1亜型」「H3N2亜型」などのタイプがあり、このタイプが違えば再感染の可能性があります
- 1回目の感染から回復しても、別の型が流行しているシーズン中は引き続き注意が必要です
- ワクチン接種は複数の型・亜型に対する発症抑制・重症化予防に有効です
インフルエンザウイルスはいくつか種類があるの?
インフルエンザウイルスには、主に「A型」「B型」「C型」の3種類があります。
毎年流行の主役となるのはA型とB型です。A型はさらに「H1N1亜型(いわゆる新型・季節性)」「H3N2亜型(香港型)」などのタイプに分かれており、B型も「ビクトリア系統」「山形系統」に分類されます。国立感染症研究所の発表によると、1つのシーズン内で複数の型・亜型が同時期または時期をずらして流行することがあります。
型ごとに抗原構造(ウイルスの表面にある目印)が大きく異なるため、A型にかかって回復しても、B型に対する免疫は獲得されません。これが「同じシーズンに2回かかる」原因の多くを占めています。
なぜ同じシーズンに2回かかることがあるの?
理由は大きく3つあります。
異なる型・亜型への感染
前述のとおり、A型・B型・タイプが違えば別の感染です。1回目がA型H3N2亜型だった場合、同シーズンにB型が流行してくれば、免疫が働かず感染してしまいます。
ワクチン接種済みでも起こる理由
毎年のインフルエンザワクチンは、その年に流行すると予測されるA型2種・B型2種(4価ワクチン)に対応しています。日本小児科学会はワクチン接種を積極的に推奨していますが、ワクチンで作られる免疫の強さには個人差があり、感染をゼロにするものではありません。それでも、発症リスクの低下や重症化・合併症の予防に大きな効果があります。
免疫が十分に得られていなかった場合
同じ型であっても、体内の免疫反応が十分でなかった場合は、理論上は再感染の可能性があります。ただしこのケースは多くなく、通常は異なる型が2回目の原因です。
| 1回目の型 | 2回目の型 | 再感染のリスク |
|---|---|---|
| A型(H1N1) | B型 | 高い(型が異なるため) |
| A型(H1N1) | A型(H3N2) | あり得る(サブタイプが異なるため) |
| A型(H1N1) | A型(H1N1)同一 | 低い(通常は免疫が働く) |
| B型(ビクトリア系統) | B型(山形系統) | あり得る(系統が異なるため) |
2回目のインフルエンザ、症状の重さはどうなる?
2回目だからといって、必ずしも症状が軽くなるわけではありません。
型が異なる場合は、1回目と同様に高熱・関節痛・頭痛・倦怠感などが出る可能性があります。お子さんの場合は、1回目の疲労が完全に回復していない状態で2回目に感染すると、体力が低下した分だけ回復に時間がかかることもあります。
特に以下のお子さんは重症化リスクが高いため注意が必要です。
- 乳幼児(生後6か月〜5歳未満)
- 基礎疾患(心疾患・喘息・神経疾患など)のあるお子さん
- 免疫機能が低下しているお子さん
インフルエンザ脳症は幼児に多く、高熱発症後の急な意識障害・けいれんには特に注意が必要です。
2回目の感染を防ぐためにできることは?
1. ワクチンを毎年接種する
日本小児科学会は、生後6か月以上のすべてのお子さんへのインフルエンザワクチン接種を推奨しています。13歳未満は2回接種(3〜4週間間隔)が基本です。1回目のインフルエンザにかかっていても、ワクチンが対応する他の型・亜型への予防効果があるため、接種の意義は変わりません。
2. 1回目の感染から完全に回復してから過ごす
インフルエンザの出席停止期間は「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)が経過するまで」と学校保健安全法で定められています。期間が明けても体力が十分に戻るまでは、無理をせず体を休めましょう。
3. 手洗い・マスク・換気の継続
1回目の治癒後も、流行シーズン中はウイルスが環境中に存在します。こまめな手洗い(石けんで30秒以上)、マスク着用、室内の換気を継続することが2回目の予防につながります。
4. 人混みを避ける
1回目から回復した直後は、免疫応答に体のエネルギーを使っている状態です。体力が戻るまでの間は、なるべく人混みへの外出を避けましょう。
こんなときはすぐに受診を
2回目と思われる発熱・症状があった場合でも、以下のサインが見られるときはすぐに医療機関を受診してください。
- 39度以上の高熱が2〜3日以上続く
- 意識がぼんやりしている・反応が鈍い
- けいれんが起きた
- 呼吸が速い・苦しそうにしている
- 水分が取れない・おしっこが少ない

よくある質問
Q. 同じシーズンにインフルエンザに2回かかることは本当にあるの?
A. はい、あります。インフルエンザウイルスにはA型・B型など複数の種類があり、1回目と異なる型に感染することで2回かかることがあります。1つのシーズン内でA型とB型が同時に流行するケースも珍しくありません。
Q. 1回かかったら、同じ型への免疫はできるの?
A. 同じ型・亜型については、感染後に免疫が形成されるため、通常は再感染しにくくなります。ただし、同一シーズン内に異なる型が流行している場合は、その型への免疫は別途必要です。
Q. ワクチンを打っていても2回かかることはある?
A. あります。インフルエンザワクチンは毎年流行が予測される型に対応していますが、予測と異なる型が流行した場合や、免疫が十分につかなかった場合は感染することがあります。それでもワクチンは発症リスクの低下・重症化予防に有効です。
Q. 子どもが2回目のインフルエンザにかかったとき、また5日間休む必要がある?
A. はい。2回目であっても、学校保健安全法の出席停止基準(発症後5日かつ解熱後2日〔幼児は3日〕経過)は同様に適用されます。診断を受けたうえで学校・保育園にご確認ください。
Q. 2回目のインフルエンザに、タミフルなどの抗インフルエンザ薬は使える?
A. 使用できます。抗インフルエンザ薬(オセルタミビル等)は1回目・2回目に関わらず、発症48時間以内に使用することで発熱期間の短縮・ウイルス排出量の減少が期待できます。ただし、使用するかどうかはお子さんの状態を診た医師の判断によります。
まとめ
- インフルエンザウイルスにはA型・B型など複数の型があり、同じシーズンに2回かかることがあります
- 1回目がA型でも、B型への免疫は得られないため、別の型の流行期には引き続き注意が必要です
- ワクチン接種は2回目の感染予防にも有効で、特に幼いお子さんには毎年の接種が推奨されています
- 2回目と思われる発熱でも、意識の変化・けいれん・呼吸困難などのサインがあれば速やかに受診しましょう
- 流行シーズン中は1回目の回復後も、手洗い・換気・人混みを避けることを続けましょう
インフルエンザに関して気になることがあれば、おぎくぼ小児科にお気軽にご相談ください。


参考文献
- 国立感染症研究所「インフルエンザとは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-influenza-intro.html
- 厚生労働省「インフルエンザQ&A」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
- 日本小児科学会「インフルエンザワクチン接種の推奨」予防接種・感染症対策委員会
- 学校保健安全法施行規則(文部科学省)第19条 出席停止の基準



