
結論: りんご病は、ヒトパルボウイルスB19による感染症です。両頬がりんごのように赤くなる発疹が特徴で、発疹が出るころには感染力がほぼなくなっています。
- 発疹が出る前(初期症状の時期)に最も感染力が強く、この時期に気づくことが難しい点が特徴です
- 通常は自然に治りますが、妊婦さんへの感染は胎児に影響を与える場合があります
- 溶血性貧血など血液の病気がある方は重症化リスクがあるため、注意が必要です
- 発疹が出た後は登園・登校が可能ですが、発熱や全身のだるさがあるときは休みましょう
「お子さんの頬が急に赤くなった」と心配して受診されるご家庭は少なくありません。りんご病は保護者の方がよく耳にする病気のひとつですが、感染のタイミングや家庭内での注意点は意外と知られていないことがあります。この記事では、りんご病の症状・原因・登園の目安・注意が必要なケースを詳しく解説します。
りんご病とはどんな病気?
りんご病の正式名称は「伝染性紅斑」といいます。ヒトパルボウイルスB19(Human Parvovirus B19)というウイルスが原因で、主に飛沫感染(咳・くしゃみ)と接触感染によって広がります。
幼児から学童(特に5〜9歳)に多く見られますが、大人も感染することがあります。国立感染症研究所の発表によると、春から初夏(4〜7月)にかけて患者数が増加する傾向がありますが、流行の規模が小さい年ははっきりした季節性が見られないこともあります。
一度感染すると免疫が生涯続く(終生免疫)ため、同じウイルスに再感染することはほとんどありません。
りんご病の症状はどのように出る?
りんご病の症状は「2段階」で現れます。
第1段階:風邪に似た初期症状
潜伏期間は10〜20日です。この時期に以下の症状が数日間続きます。
- 軽度の発熱
- 倦怠感
- 鼻水・喉の痛み
この時期が最も感染力が強いのですが、症状が風邪と区別しにくいため、知らないうちに周囲に広げてしまうことが多いのがりんご病の特徴です。
第2段階:特徴的な発疹(初期症状が落ち着いた後)
初期症状が治まって数日後に、以下の発疹が現れます。
| 発疹の部位 | 特徴 |
|---|---|
| 両頬 | りんごのように赤くなる(最も特徴的) |
| 腕・足・体幹 | 網目状(レース状)の発疹が広がる |
発疹が出た時点では感染力はほぼなくなっています。
発疹のかゆみは出ないことも多いですが、大人は子どもより強いかゆみを感じることがあります。また、発疹は日光・入浴・運動・体が温まることで一時的に赤みが強くなることがあります(数週間続くこともあります)。
大人がかかった場合の症状は?
大人は発疹よりも関節痛(手首・膝・足首など)が前面に出ることが多く、発疹がほとんど出ない場合もあります。関節痛は数週間続くこともあります。

登園・登校の目安はどうなっている?
発疹が出た時期には感染力がほぼないため、学校保健安全法では「出席停止が必要な感染症」には指定されていません。
つまり、発疹が出た状態でも、本人が元気であれば登園・登校は可能です。ただし、以下の場合は無理をせず休みましょう。
- 38度以上の発熱がある
- 全身のだるさが強く、本人が辛そう
- 食欲がなく、水分が取れていない
診断書は原則として必要ありませんが、保育園・幼稚園・学校によって対応が異なる場合があります。登園・登校前に施設に確認するとよいでしょう。
こんなケースは特に注意が必要
妊婦さんへの感染
りんご病の流行期に妊娠中の方が感染した場合、一部のケースで胎児に影響が出ることがあります。胎児水腫(胎児に貧血が起こり全身がむくむ状態)を引き起こす可能性があるため、妊婦さんはりんご病の患者さんとの接触をできるだけ避けましょう。妊娠中に感染が疑われる場合は、速やかに産婦人科に相談してください。
溶血性貧血など血液の病気がある方
ヒトパルボウイルスB19は、赤血球の赤ちゃん(赤血球になる前の細胞)に感染してその産生を一時的に止めます。通常は軽症で気づかないまま回復しますが、遺伝性球状赤血球症・鎌状赤血球症などの溶血性貧血がある方は「無形成発作(再生不良性クリーゼ)」と呼ばれる重篤な貧血を起こすことがあります。
免疫機能が低下している方
免疫抑制剤を使用している方・免疫不全の方は慢性的に感染が続く場合があります。かかりつけ医に相談しましょう。
家庭でできることは?
りんご病に特効薬も予防ワクチンもありませんが、家庭でのケアで回復をサポートできます。
① 安静と水分補給
発熱や倦怠感が強い時期は、十分な休息をとり、こまめに水分を補給しましょう。
② 発疹・かゆみへの対応
かゆみが強い場合は、医師の指示のもとで抗ヒスタミン薬を使うことがあります。体が温まると発疹が目立つため、入浴は短めにするとよいでしょう。
③ 感染拡大の防止
りんご病は発疹が出る前が最も感染力が強いため、発疹が出てから対策しても効果は限定的です。日ごろからの手洗い・咳エチケット・換気を習慣にすることが最も有効な予防策です。
こんなときはすぐに受診を
- 頬や体に発疹が出たが、何の病気か確認したい
- 発熱が2〜3日以上続いている
- ぐったりして元気がない
- 妊娠中に感染が疑われる
- 血液の病気がある子どもに発疹・体調不良が出た

よくある質問
Q. りんご病はうつる?感染力はどれくらい続く?
A. 感染力があるのは、主に発疹が出る前の初期症状(発熱・鼻水)の時期です。発疹が出た時点ではウイルスの排出がほぼなくなるため、感染力はほとんどありません。発疹が出た時にはすでに感染力は低い状態です。
Q. りんご病になったら幼稚園・保育園は休まないといけないの?
A. 発疹が出た状態であれば、学校保健安全法上は出席停止の対象ではありません。本人が元気で発熱もない場合は登園・登校できます。ただし施設のルールがある場合は確認しましょう。
Q. 大人もりんご病にかかる?子どもと症状は違う?
A. 大人もかかります。大人は発疹よりも関節痛(手首・膝など)が主な症状として出ることが多く、発疹がほとんど出ないこともあります。関節痛は数週間続く場合もありますが、自然に回復します。
Q. 妊娠中にりんご病の子どもと接触したが大丈夫?
A. 過去に感染したことがあれば免疫があり、通常は問題ありません。ただし、感染経験がない場合は胎児への影響が出ることがあるため、接触があった場合は産婦人科に相談しましょう。
Q. りんご病は何日で治る?
A. 通常1〜2週間で自然に回復します。発疹は体が温まったり日光を浴びたりすると一時的に目立つことがあり、薄くなるまで数週間かかる場合もありますが、感染力はありません。
まとめ
- りんご病はヒトパルボウイルスB19が原因で、両頬の赤みと網目状の発疹が特徴的です
- 感染力が強いのは発疹が出る前の初期症状の時期で、発疹が出たころには感染力はほぼなくなります
- 発疹が出ていても、元気で発熱がなければ登園・登校できます
- 特効薬・ワクチンはなく、安静・水分補給が基本です
- 妊娠中の方・血液の病気がある方は重症化の可能性があるため、速やかに医師に相談を
りんご病のご相談や診察は、おぎくぼ小児科にお気軽にどうぞ。
参考文献
- 国立感染症研究所「伝染性紅斑とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-parvovirus-intro.html
- 厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い(伝染性紅斑)」
- 学校保健安全法施行規則(文部科学省)第18条・第19条
- 日本産婦人科学会「妊娠とウイルス感染症(パルボウイルスB19)」に関する解説



