
結論: アブリスボは、妊娠中に接種することで赤ちゃんをRSウイルス感染症の重症化から守るワクチンです。2026年4月1日から公費(定期接種)になりました。
- 定期接種の対象は妊娠28週0日〜36週6日の妊婦さん(添付文書上は24週〜36週が接種可能ですが、定期接種の対象は28週〜36週です)
- 接種することで胎盤を通じて赤ちゃんに免疫が移行し、生後6か月未満の重症RSウイルス感染症を予防する効果が期待されます
- 杉並区発行の予診票がある方は無料で接種できます
- 完全予約制・キャンセル不可です。お取り寄せが必要なため、余裕をもってご予約ください
おぎくぼ小児科では、妊婦さんを対象にしたRSウイルス感染症予防ワクチン「アブリスボ」の取り扱いを開始しました。この記事では、RSウイルスとはどのような感染症か、アブリスボの効果・接種時期・費用・予約方法について解説します。
RSウイルス感染症とはどんな病気?
RSウイルス感染症は、乳幼児に重篤な呼吸器感染症を引き起こすことがある感染症です。
国立感染症研究所のデータによると、1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の子どもが感染します。基礎疾患のない乳児でも入院することがあります。生まれてすぐの時期から感染のリスクがあるため、出生前からの予防が重要です。

かつてRSウイルスは冬季に流行する感染症とされていましたが、近年は夏季にも流行する年(2021年・2023年など)があり、季節性が変化しています。出産予定日の季節に関わらず、予防を検討することが大切です。

アブリスボとはどんなワクチン?
アブリスボは、妊婦さんが接種することで赤ちゃんを守る母子免疫ワクチンです。妊婦さん本人がワクチンを接種すると、胎盤を通じて赤ちゃんに抗体が移行し、生後6か月未満のRSウイルス感染症による重症化を予防する効果が期待されます。
アブリスボは日本小児科学会・日本産婦人科学会でも紹介されており、2026年4月1日から定期接種に追加されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定期接種の対象 | 妊娠28週0日〜36週6日の妊婦さん(定期接種) |
| 用法・用量 | 1回0.5mLを筋肉内に接種 |
| 接種回数 | 1回 |
| 効果の対象 | 生後6か月未満の赤ちゃん |
添付文書上の接種可能時期は妊娠24週0日〜36週6日ですが、定期接種(公費)の対象は妊娠28週0日〜36週6日です。 接種時期についてご不明な点はお気軽にご相談ください。妊婦健診を受けている産婦人科に問い合わせていただくようにご案内することがございます。あらかじめご了承ください。
アブリスボを接種するとどれぐらい効果があるの?
アブリスボによるRSウイルス感染症の予防効果については研究で生後6ヶ月まで証明されています。
RSウイルス感染症による医療受診を必要とした下気道感染症の予防
生後0~90日で57.1%、生後0日〜180日では51.3%の予防効果でした。
RSウイルス感染による医療受診を必要とした重症下気道感染症の予防
生後0~90日で81.8%、生後0日〜180日では69.4%の予防効果でした。
81.8%の予防効果ってどういう意味?
予防効果において、この%という表記は少しわかりにくいかもしれません。この「%」は「ワクチンを打たなかった場合と比べて、どれくらい病気が減ったか」を表しています。
アブリスボの効果を示した研究では実際にこういうデータでした。
- ワクチンあり:6人が重症化
- ワクチンなし:33人が重症化
ここから計算すると、33人 → 6人に減った= 81.8%減
→ これが「有効性81.8%」です
安全性は?
安全性については問題ありません。
接種してから分娩後6ヶ月までの間に、早産、新型コロナウイルス感染症の検査が陽性、子癇前症のいずれも問題ありませんでした。
妊娠高血圧症候群については接種した人で統計的にわずかにリスクが上昇する可能性があるという報告がありますが、妊娠高血圧症候群となった患者さんの帝王切開、出産後の入院率、入院期間については差がありません。
接種できない方はどんな場合?
以下に該当する方は接種できません。
- 明らかな発熱がある方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
- アブリスボの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
- そのほか、医師が接種不適当と判断した方
体調が優れない場合や不安がある場合は、接種前に医師にご相談ください。
なぜ赤ちゃんが入院するとこんなに大変なの?
RSウイルスに限らず、小さなお子さんが入院する場合には保護者の付き添いが求められることが多くあります。付き添い入院は本人の回復をサポートするためにも大切ですが、家族全体に大きな負担がかかります。
付き添い入院で生じやすい問題
- 保護者の体力的・精神的な消耗
- きょうだいのお世話をする人の手配
- 共働き世帯での仕事・職場への影響
付き添い不要な病床は限られています(例:順天堂練馬病院では30床中8床のみ)。空きがなければ付き添い入院が必要になる場合もあります。
アブリスボは赤ちゃんの重症化リスクを下げるだけでなく、家族全員の負担を軽減することにもつながります。
費用と予約方法は?
費用
| 接種区分 | 費用 |
|---|---|
| 定期接種(杉並区の予診票あり) | 無料 |
| 任意接種(予診票なし) | 35,200円(税込) |
詳しくは杉並区のホームページもご確認ください。
予約方法
完全予約制・キャンセル不可です。アブリスボはお取り寄せが必要なため、接種希望の方は余裕をもってご予約ください。
予約手順
- 下の「WEB予約」から「予防接種」を選択して予約
- 必ずWEB問診も合わせて行う(WEB予約だけではアブリスボ希望かどうかがスタッフにはわかりません)
よくある質問
Q. アブリスボは自費ですか?無料で受けられますか?
A. 2026年4月1日から定期接種となりました。杉並区が発行した予診票をお持ちの方は無料で接種できます。予診票がない場合は32,000円(税別・35,200円税込)の費用がかかります。予診票の発行については杉並区のホームページや産婦人科にご確認ください。
Q. 何週目に接種するのがよいですか?
A. 定期接種の対象は妊娠28週0日〜36週6日です。添付文書では24週〜36週が接種可能とされていますが、28週以降の方が効果が高いとされています。ご自身の産婦人科とも相談しながら、余裕をもって予約されることをおすすめします。
Q. アブリスボを打てば赤ちゃんにワクチンを打たなくてよいですか?
A. アブリスボは生後6か月未満の重症化予防を目的としています。お子さんが生まれた後に受ける定期接種(ヒブ、肺炎球菌など)とは別のものです。アブリスボを接種したとしても、お子さんの定期予防接種は通常どおり受けていただく必要があります。
Q. 産婦人科と小児科どちらで接種すればよいですか?
A. どちらでも接種できます。おぎくぼ小児科では妊婦さんへのアブリスボ接種を行っています。里帰り出産などでかかりつけの産婦人科が離れている場合や、お子さんが生まれてからもかかりつけとなる小児科で接種したい方はぜひご利用ください。
Q. 接種後に赤ちゃんに副反応は出ますか?
A. アブリスボの副反応は妊婦さん本人に起こるものです。主な副反応として、注射部位の痛み・腫れ・疲労感などが報告されています。生まれてくる赤ちゃんへの影響については、臨床試験で安全性が確認されています。詳しくは接種前に医師にご確認ください。
まとめ
- RSウイルスは生後1〜2か月に入院のピークがあり、出生前からの予防が必要です
- アブリスボは妊婦さんが接種することで赤ちゃんに免疫を移行させるワクチンです
- 2026年4月1日から定期接種となり、杉並区の予診票があれば無料で接種できます
- 定期接種の対象は妊娠28週0日〜36週6日です(添付文書上は24週〜36週)
- 完全予約制・キャンセル不可のため、余裕をもってWEB予約+WEB問診を行ってください
妊娠中の大切な時期に、赤ちゃんの健康を守る準備としてぜひご検討ください。ご不明な点はいつでもお気軽にお問い合わせください。
参考文献
- 国立感染症研究所「RSウイルス感染症とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html
- 厚生労働省「RSウイルス感染症に対するワクチン(アブリスボ)の定期接種化について」(2026年)
- 日本小児科学会「予防接種・ワクチン」関連情報
- 日本産婦人科学会「妊婦へのRSウイルスワクチン接種に関する見解」
- ファイザー株式会社「アブリスボ筋注用 添付文書」
- Kampmann B, Madhi SA, Munjal I, et al. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants. N Engl J Med. 2023;388(16):1451-1464. doi:10.1056/NEJMoa2216480
- https://www.cdc.gov/acip/downloads/slides-2025-06-25-26/04a-DeSilva-Mat-Peds-RSV-508.pdf
- Peterson JT, Zareba AM, Fitz-Patrick D, et al. Safety and Immunogenicity of a Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Vaccine When Coadministered With a Tetanus, Diphtheria, and Acellular Pertussis Vaccine. J Infect Dis. 2022;225(12):2077-2086. doi:10.1093/infdis/jiab505



