
結論: 子どもへの虫よけ選びで最初に確認すべきは「年齢制限」と「使用回数制限」です。年齢・使用回数ともに制限がないイカリジンが日常使いに最もおすすめです。
- イカリジン:年齢制限・使用回数制限なし。公園など日常の外出に最適
- ディート:生後6か月未満は使用禁止。2歳未満は1日1回まで。虫の種類に幅広く効果があり、キャンプ・登山などの本格的なアウトドアに向いている
- シトロネラ:植物由来だが効果持続が20分未満。実用性は低い
- レモンユーカリ:植物由来で蚊に4時間効果あり。ただし3歳未満には使用不可
- 虫さされは軽視されがちですが、とびひ(伝染性膿痂疹)や蜂窩織炎などの皮膚感染症につながることがあるため、適切な予防が大切です
「子どもに虫よけを使いたいけれど、どれを選べばよいか迷ってしまう」という保護者の方は多いと思います。虫よけには子どもに使ってよいものとそうでないものがあり、成分ごとに年齢制限や使用方法のルールが異なります。この記事では、代表的な4種類の虫よけを比較しながら、年齢・場面別の選び方を解説します。
子どもに使える虫よけにはどんな種類がある?
現在市販されている主な虫よけ成分は次の4種類です。
| 成分 | 持続時間 | 年齢制限 | 使用回数制限 |
|---|---|---|---|
| ディート(10%) | 2〜3時間 | 生後6か月以上 | 2歳未満は1日1回・12歳未満は1〜3回 |
| ディート(30%) | 6〜8時間 | 12歳以上のみ | ー |
| イカリジン(15%) | 6〜8時間 | なし | なし |
| シトロネラ | 20分未満 | 記載なし | ー |
| レモンユーカリ | 蚊に約4時間 | 3歳以上 | ー |
成分ごとに特性が大きく異なります。以下で詳しく解説します。
ディートは何歳から使える?使い方のルールは?
ディート(DEET)は1950年代から使われている、もっとも歴史の長い虫よけ成分です。蚊・ブヨ・マダニ・ハエなど幅広い虫に効果があり、本格的なアウトドアでも使われています。
厚生労働省の安全対策通知により、子どもへのディートの使用には以下のルールが定められています。
ディートを使う際の年齢別ルール(厚生労働省)
- 生後6か月未満:使用禁止
- 生後6か月〜2歳未満:1日1回まで
- 2〜12歳未満:1日1〜3回まで
- 12歳未満:30%濃度のディートは使用不可(10〜15%の製品を選ぶこと)
また、ディートはプラスチックや合成繊維を溶かすことがあるため、ストッキング・メガネフレーム・時計のベルトなどへの付着に注意が必要です。綿・ウール・ナイロン素材への使用は問題ありません。
イカリジンはなぜ子どもに使いやすい?
イカリジン(ピカリジン)は2015年から日本でも使えるようになった比較的新しい成分です。
子どもへの使用において最大のメリットは、年齢制限も使用回数制限もない点です。生後間もない赤ちゃんにも使用でき、必要に応じて複数回塗り直せます。
また、ディートと比べて皮膚への刺激が少なく、においも穏やかで、プラスチックや合成繊維を溶かす心配もありません。
一方、ツツガムシ・サシバエなど一部の虫には効果がなく、ディートより虫よけ効果の対象となる虫の種類は少なくなります。公園・散歩などの日常的な外出であれば十分な効果が期待できますが、キャンプや登山などの本格的なアウトドアではディートの方が適している場合があります。
植物由来の虫よけ(シトロネラ・レモンユーカリ)は効果がある?
「天然成分・植物由来」と聞くと安心感がありますが、効果の面で注意が必要です。
シトロネラ
虫よけ効果はあるものの、持続時間が20分未満という報告があります。外出中にこまめに塗り直すことを考えると、実用的とはいえません。
レモンユーカリ
蚊に対して約4時間の効果が報告されており、植物由来の中ではより実用的です。ただし、目に強い刺激があるため、3歳未満の子どもへの使用は推奨されていません。
場面別・年齢別、どの虫よけを選べばよい?
① 公園・日常の外出(月齢・年齢を問わない場合)
→ イカリジン(15%) がおすすめ。年齢・回数の制限がなく、最も使いやすい選択肢です。
② キャンプ・登山など本格的なアウトドア(生後6か月以上)
→ ディート(12歳未満は10〜15%) を検討しましょう。幅広い虫に効果があり、高リスク環境での虫よけに適しています。
③ 生後6か月未満の赤ちゃん
→ ディートは使用禁止。イカリジンが唯一使用できる選択肢です。できるだけ肌の露出を減らす・虫の多い場所を避けるなどの対策も合わせて行いましょう。
虫よけを使う際の共通の注意点
- 目・口の周りや傷口には塗らない
- 手に塗った場合は手を洗う(子どもが口に触れないように)
- 洋服の上から使用することで皮膚への吸収を減らせる
- 帰宅後は石鹸で洗い流す
虫さされを軽視しないで。皮膚感染症につながることも
虫さされは「刺されてから薬を塗れば十分」と思われがちですが、かきむしることで皮膚のバリアが壊れ、以下のような感染症につながることがあります。
- とびひ(伝染性膿痂疹):傷口から細菌が入り、水ぶくれやじゅくじゅくした皮疹が体中に広がる
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん):皮膚の深いところに細菌感染が起き、赤く腫れて熱を持つ
虫さされ後は爪を短く切り、かきむしらないようにすることも大切なケアのひとつです。
よくある質問
Q. 生後6か月未満の赤ちゃんには虫よけを使えないの?
A. ディートは生後6か月未満の使用が禁止されています。イカリジンは年齢制限がなく使用できます。赤ちゃんには肌の露出を少なくする・虫の多い場所を避けるといった物理的な対策も合わせて行うとよいでしょう。
Q. 子どもにはディートとイカリジン、どちらがよい?
A. 日常の外出(公園・散歩など)であればイカリジンがおすすめです。年齢・使用回数の制限がなく、皮膚への刺激も少ないためです。キャンプや登山など虫の種類が多い環境では、ディートの方が対応できる虫の幅が広いため適しています。生後6か月以上であればディートも使用可能ですが、年齢に応じた使用回数のルールを守ってください。
Q. 虫よけスプレーを子どもの顔に使っていい?
A. 顔に直接スプレーすることは避けましょう。大人の手に取ってから、目・口・鼻の周りを避けてやさしく塗り広げる方法がおすすめです。
Q. 植物由来の虫よけの方が子どもには安全?
A. 「植物由来=安全」とは限りません。シトロネラは効果が20分未満と短く実用性に欠け、レモンユーカリは目への刺激が強く3歳未満には使用不可とされています。年齢制限・使用回数制限のないイカリジンの方が、多くの場面で子どもに使いやすい選択肢です。
Q. 虫よけと日焼け止めを一緒に使ってもいい?
A. 一緒に使うことはできますが、塗る順番に注意が必要です。日焼け止めを先に塗り、その上から虫よけを重ねて使うのが基本です。ただし、日焼け止めの上から虫よけを塗ると日焼け止めの効果が薄まることがあるため、日焼け止めはやや多めに使用しましょう。
まとめ
- 年齢・使用回数の制限がないイカリジンが、日常使いに最もおすすめの虫よけ成分です
- ディートは虫の種類に幅広く効果があるが、生後6か月未満は使用禁止・年齢別の使用回数制限を必ず守ること
- シトロネラは効果持続が20分未満で実用性が低い
- レモンユーカリは蚊に4時間効果があるが3歳未満には使用不可
- キャンプや登山にはディート、公園など日常の外出にはイカリジンと使い分けるのがおすすめ
- 虫さされはとびひや蜂窩織炎などの皮膚感染症につながることがあるため、予防は大切です
虫よけ選びでお困りのことや、虫さされ後のお肌の状態が気になる場合は、おぎくぼ小児科にお気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」https://www.mhlw.go.jp/
- 坂本昌彦. 虫刺症(虫刺され)〜蚊を中心に〜. チャイルドヘルス. 2022;25(6):25-28.




